日本で活躍する台湾人マルチクリエイター、シュアンさんにインタビューさせて頂きました。
シュアンさんは来日してアイドル活動をされたあと、ドラマやバラエティー番組へのご出演、楽曲のリリースなど、マルチにご活躍されています。
チャンネル登録者数11万人のYouTuberとしての顔もあり、乃木坂46メンバーや人気YouTuberとのコラボ動画も人気です。
シュアンさんのプロフィール
シュアンさんは台湾の新竹(Hsinchu)ご出身。
新竹(Hsinchu)には半導体メーカーTSMCの本社があり、IT企業が集まる都市として知られています。
大学の交換留学で日本に来られたシュアンさんは、来日3か月でアイドルグループ『スルースキルズ』に加入し、アイドル活動をはじめられました。
※『スルースキルズ』は、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんが手掛けられたアイドルグループ。2023年5月にデビュー10周年を迎え、2023年5月2日@渋谷club asia一夜限りの復活ライブを開催予定。
グループ解散後はYouTubeを本格的に開始し、チャンネル登録者数11万人を超えるチャンネルになりました。
乃木坂46のメンバーやGARNiDELiAのメイリアさんなど、著名なアーティストともコラボされています。
YouTubeだけでなく、テレビドラマやバラエティー番組への出演もされるなど、マルチに才能を発揮しご活躍されている様子をお伺いすることができました。
女優、タレント、YouTuber、通訳MCとしてマルチに活躍されている、シュアンさんおすすめの台湾グルメ、観光地もお聞きしています。
チャンネル登録者11万人を超える人気ユーチューバーの原点
――YouTubeをはじめられたきっかけについて教えてください
シュアンさん:今から5年ほど前まで、わたしはスルースキルズというアイドルグループで活動していました。その後グループの解散が決まって、アイドルとしての活動がなくなり、「これからどうしようか」と将来について悩んでいたんです。その悩みを友人に相談したところ、その時期に台湾で伸び始めていた「YouTubeをやってみても良いのではないか」とアドバイスをもらい、YouTubeを本格的にはじめることにしました。
――これまでたくさんの動画を投稿されていますが、特に印象に残ったものはありますか
シュアンさん:たくさんありますね。たとえば、乃木坂46さんとコラボした動画や、GARNiDELiAのメイリアさんにドッキリをしかけた動画が印象に残っています。メイリアさんの動画は、わたしのチャンネルでいちばん再生されている人気動画です。
――乃木坂46とコラボしたときのエピソードはありますか
シュアンさん:乃木坂46の皆さんはほんとうに優しくて、初対面のときもリラックスした雰囲気で話してくれました。乃木坂46のメンバーには、台湾に興味を持ってくれている方も多くて。たとえば、動画でコラボした元乃木坂46の松村沙友理さんは、台湾グルメが好きだと話していました。
松村さんとYouTubeでコラボしたときは、たまごを立てるチャレンジをしました。そのとき、わたしはたまごを立てることができず、松村さんだけが立たせられたことが印象に残っています。松村さんと一緒にご飯を食べにいったときのエピソードですが、松村さんがご飯を食べるときに、自分で「あーん」と言いながら食べていたのも、とてもかわいかったです。
――YouTubeチャンネルのテーマソングの作詞、作曲やPV制作でこだわった部分を教えてください
シュアンさん:テーマソングは、すべて細部までこだわって作りました。たとえば、撮影時に着用した衣装、ダンスにも心血を注いでいます。ダンスは、TikTokで真似しやすいようなポップなものに仕上げました。PVのロケ地にもこだわりがあります。自分が好きな場所で撮影をしたいと思い、東京タワー、東京駅、台湾料理屋さんなどを撮影地に選びました。全部わたしが好きな日本の場所です。わたしは元アイドルなので、テーマソングもアイドルソングっぽいメロディー構成にしています。
――相当こだわって作られていますね。テーマソングの企画、撮影などの準備期間もかなりかかったのではないでしょうか
シュアンさん:2022年1月ごろに「オリジナルソングを作りたい」と思って、企画をスタートさせました。本格的に曲をつくりはじめたのは4月です。自分が作った曲をミックスしてもらい、7月にPVの撮影を行いました。PV撮影には、人気ユーチューバーのRyuuuTVさん、サンエン台湾のJunちゃんなど、にも出演してもらっています。最終的に楽曲を公開したのは8月末です。半年近くの期間をかけて完成した楽曲になります。
――YouTubeに最初に動画を投稿された日から数えると、2023年2月に10周年を迎えられます。YouTubeで10周年特別企画をされる予定はありますか
シュアンさん:本格的にユーチューバーとして活動をはじめたのは2017年のことなのですが、10周年企画をやれたらいいなと思っています。もし10周年企画をやるとするなら、いままでYouTubeでコラボしてくれたクリエイターたちみんなで集まって、台湾に関する企画をやりたいですね。
――今後、ユーチューバーとしてやっていきたいことはなんですか
シュアンさん:今回出したテーマソングを第一弾として、引き続きわたしが制作した音楽を発信していきたいと考えています。YouTubeをはじめたときから、シンガーソングライターとして活動をしたいとずっと思っていたので、YouTubeを通して楽曲を発信していきたいです。
日本でお仕事をしていくうえで感じたこと
――日本でお仕事をしていくうえで、文化の違いなど戸惑ったことはありますか
シュアンさん:わたしは日本にきて3か月でアイドルグループに加入したので、はじめのうちは言語の問題で戸惑うケースがありました。たとえば、台湾と日本では意見やアドバイスを言うときの表現に違いがあります。台湾では直接的な表現が多かったのですが、日本では遠回しな表現が多くて戸惑いましたね。
アドバイスを与えるときも単刀直入に話すのではなく、まず相手を褒めてからするのが日本流だと感じています。あとになって、言葉にこめられた本心を知るケースが多かったです。アイドルグループのミーティングでは、日本人メンバーとも意見を交わします。まだまだ日本語や日本の習慣に慣れていなかったわたしは、コミュニケーションがうまくいかず、自分の意見がうまく伝わらずに採用されなかったことがいちばん苦労した部分です。
――来日3か月で日本のアイドルグループに所属し、日本語でコミュニケーションを取れるのはすごいですね。日本語の勉強はどのようにされていましたか
シュアンさん:わたし以外のメンバーが全員日本人だったので、そのなかでコミュニケーションを取りながら日本語を覚えていました。日本語を使う環境に恵まれたので、日本語の成長は早かったです。
日本語を上達させるうえでいちばん役立ったのは、マネをすることだと思います。アイドル卒業後にはじめた仕事では、ビジネスメールの文章を作成するときに同僚や上司の作成したメールを拝見させて頂き、マネしていきました。実際に仕事をしながら、状況に応じた返信の仕方などを体系的に覚えていった感じです。
――シュアンさんは日本のドラマにご出演されていますね。ドラマの撮影で大変だったことや楽しかったことなど、エピソードはございますか
シュアンさん:NHKドラマ『美女と男子』にアイドル役として出演しました。スルースキルズではスニーカーで踊ることが多かったですが、ドラマの撮影ではハイヒールで踊る必要がありました。10cm近くあるような高いハイヒールです。ハイヒールで踊ることに慣れていなかったので、撮影のときにめちゃくちゃ足をつってしまいました笑。マネージャーさんが足をマッサージしてくれていたことを覚えています。ダンスや歌のシーンが多かったので、現役アイドルのわたしはとても楽しく演じることができました。
実は、わたしが『美女と男子』にキャスティングされたのは他のメンバーよりも遅かったです。先にほかの女優さんの出演が決まっていて、遅れるかたちでわたしの出演が決まりました。先に出演が決まっていた女優さんに後れを取らないように、現役アイドルとしてのプライドもあり、前日渡されたダンス動画を深夜まで練習して完璧に仕上げたことを今でも覚えています。
――努力家ですね。一晩でダンスを覚えられたのはすごいことだと思います。TBSドラマ『コウノドリ2』にも出演されていますね
シュアンさん:TBSドラマ『コウノドリ2』では妊婦役として出演しました。妊娠経験がないなか、妊婦役を演じるのは大変でした。どうやって子供を産むのかをイメージするのが難しくて。撮影の前に出産シーンがある動画をたくさんみて、子供を産むときの様子を自宅でシミュレーションしました。
撮影時にはすごく緊張していたのですが、共演した綾野剛さんや吉田羊さんがすごく優しく接してくれて緊張がほぐれました。吉田羊さんが緊張しているわたしに、優しく声をかけてくださったことがうれしかったです。
――『世界くらべてみたら』、『土曜はカラフル』などのバラエティー番組にも出演されていますね。出演時のエピソードを教えてください
シュアンさん:2年ほど前に出演したTBSの『世界くらべてみたら』では、撮影の待ち時間にMCの国分太一さんと雑談したことが印象に残っています。国分太一さんはテレビ東京で『男子ごはん』という番組もされています。雑談で『男子ごはん』の話になったのですが、わたしが番組タイトルを『男ごはん』みたいな感じで言い間違えてしまって笑。そのときに国分さんが笑顔で「男子ごはんだよ」と言ってくれたのが印象的でした。
『土曜はカラフル』は、今年に入ってから出演させて頂いています。スタッフさんがとても優しいです。レポーターとして東京の飲食店を訪ね、食レポや取材を行いました。出てくる料理がどれも美味しいんですよ。撮影が終わってから、残った料理をスタッフさんが分けている光景がほんわかとしていて、いい雰囲気だなと感じました。
――グルメ番組で「この後スタッフで美味しく頂きました」とテロップが出ることがありますが、ほんとうに分けておられるんですね
シュアンさん:そうなんです。グルメ好きのスタッフさんが、撮影のときにすでに「おいしそう!」っ言っている声が聞こえてきていて、それがすごくおもしろかったです。
――ロケの時間はどのくらいですか
シュアンさん:半日を2日にかけて撮影を行っていました。1日に2、3軒取材にいくときもありますよ。わたしはグルメが好きなので、『土曜はカラフル』のロケはすごく楽しかったです。
シュアンさんがおすすめする台湾の観光地やグルメ
――シュアンさんの地元新竹市のおすすめグルメやスポットを教えてください
シュアンさん:新竹でおすすめのスポットは南寮です。南寮は新竹駅から7キロほど離れたエリアになります。南寮漁港周辺の海岸線には、全長17kmのサイクリングコース(十七公里自行車道)があります。レンタル自転車で海岸線を走るのはとても気持ちがよいですよ。
以前、わたしの友達を新竹に連れていったときは南寮で凧あげをしました。南寮は風が強いので、凧あげをするのに適しているんです。目の前に海が広がるロケーションで凧をあげるのは最高ですよ。
グルメなら、烤魷魚(イカ焼き)や燒酒螺(ウミニナ)がおすすめです。南寮は港町なので海鮮料理がとても美味しいですよ。燒酒螺(ウミニナ)は貝の仲間なんですが、日本人は少し苦手かもしれません。中身をほじくって、吸うようにして食べるのが特徴的です。
新竹の定番料理だと、貢丸(肉団子)と米粉(ビーフン)は人気があります。新竹駅から徒歩10分ほどでいける、石家魚丸というお店がおすすめです。石家魚丸の魚丸(魚のすり身団子)は絶品ですよ。
――シュアンさんが大学時代を過ごされた台北でおすすめのグルメはありますか
シュアンさん:家の近くに景美夜市があり、よくいっていました。台湾の夜市と聞くと、日本人観光客は士林夜市を思い浮かべると思いますが、地元民としては景美夜市や公館夜市が特におすすめです。夜市グルメはよく好きでよく食べていましたね。
派克雞排というお店の脆皮雞排(ツイピージーパイ)が大好きです。皮がパリパリとしているジーパイで、とても美味しいですよ。日本でもジーパイを提供するお店はありますが、脆皮雞排(ツイピージーパイ)を提供するお店はなかなか見つけられなくて。台湾に帰るたびに食べたくなりますね。タピオカドリンクだと、定番にはなりますが50嵐がおすすめです。
――台湾に帰ったら必ずいく場所や食べるグルメはありますか
シュアンさん:新竹に帰ったら、新竹都城隍廟にいきますね。新竹名物の貢丸(肉団子)や米粉(ビーフン)が食べられるお店がたくさんあります。わたしの両親はここが大好きで、ご飯を食べるとなったら新竹都城隍廟にいくことが多いです。それと、台湾に帰ったら鴨肉麺は必ず食べます。日本にいながらも、時々スープの味を思い出しては、台湾が恋しくなっていますね。
――まだいったことのない台湾の観光地でいきたいと思っている場所はありますか
シュアンさん:わたしは台湾の島めぐりが好きで、緑島や小琉球はいったことがあります。まだ蘭嶼(ランユー)にはいけていないので、いつかいってみたいです。蘭嶼(ランユー)はタオ族が住んでいる島で、伝統的な漁船があるのでそれをみたいと思っています。とてもカラフルで綺麗ですよ。トビウオが有名な島で海も綺麗だと聞いているので、夕日をみたり、海に入ったりもしたいと思っています。
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします
シュアンさん:これからも、YouTubeやSNSで情報発信をしていきます。楽曲も引き続き制作していくので、わたしのSNSをフォローしてくれたらうれしいです。
最近はTikTokにも力を入れていて、ショート動画をたくさん公開しています。是非そちらもみて頂けたらうれしいです。最近は日本でも「台湾のことが好き」と言ってくれる方が増えていて、とてもうれしく思っています。まだ台湾に来られたことがない方も、台湾に遊びに来てくださるとうれしいです。
シュアンさんYouTube:https://www.youtube.com/c/tshsuan
シュアンさんInstagram:https://www.instagram.com/ts_hsuan/
シュアンさんTwitter:https://twitter.com/ts_hsuan
シュアンさんTikTok:https://www.tiktok.com/@ts_hsuan